2月24日(水)、反差別人権研究所みえ・ヒューリアみえの松村元樹さんにお越しいただき、「立ち止まって考えよう、~他人事から自分事へ」という演題で、3年生が人権出会い学習を行いました。
「当たり前」、「普通」と思ってしまうことで、差別につながったり、差別の加害側になったりすることがないように、この社会で自分にある優位性を自覚することについて学びました。「自分がたまたま持っている条件として、男性か女性か、障がいがあるかないか、日本国籍かどうか、両親がいる家庭かどうか、望めば学習塾に通える状況なのかどうかなど、優位である側は、差別を受けていなかったり、壁を感じていなかったりするので、そのことを当たり前、普通だと感じてしまっている。そんな中、勇気を振り絞って自分の大切なこと、立場を打ち明けてくれた相手に対し、「そんなの気にしなくていいよ」と軽い返しで、相手の心を深く傷つけてしまうことや自分のことを告白した側に、心とは反対の愛想笑いや明るい振舞いをさせてしまうことがないようにしたい。だから、特権を自覚することが大切だ」と話されました。
そして、このことをゲームで体感しました。クラスで並んで話を聴いている列の前に置かれた段ボール箱に、自分の場所から丸めた紙を入れられたら景品がもらえるというルール。前に座っている人は難なく入れられ、少し後ろの人は慎重に狙いを定めて投げ、後ろの方の人は「無理だ」とあきらめ感を持ってしまいました。自分の座る場所は、名簿順というたまたま決められた条件です。生まれ持った環境で、優位な人と努力が必要な人、あきらめざるを得ない人ができています。前に座った人は、後ろを向くことも後ろの人の声に耳を傾けることもせず、前しか見ていなければ不平等性に気づきません。特権を持っている人の特徴は、「自分を普通だと思っている。特権があることを知ろうとしていない。差別問題に無関心でいられる」。特権を自覚し、周りの生きづらさのある人のことを考えることが大切で、自分にできることを考えられるようになりたいと話されました。
また、生徒の質問や感想に、自身の経験をもとにわかりやすく返していただきました。
「これから、どんなことに気をつけていけばいいのでしょうか」
「高校生になる、社会に出ると学習する機会が少なくなり、そうすると関心が薄くなる。だから、自分なりに学ぶこと、関心を途切れさせない機会を自分でつくること。差別を感じることがあったときには、誰かに相談するとか、差別を放置しない」
「差別に遭ったり、苦しいとき、心の立直し方は、どうしたらいいのでしょうか」
「話ができる人、相談できる人をひとりでいいからつくっておく。自分が一番知ってもらいたいことを話せる人を。中学の友だちでも、高校生になってからでも」
卒業を前にして、3年生は中学校最後の人権学習で、自分に指を向けて差別をしない生き方について学んでいます。