卒業式には次のようにお祝いの言葉を伝えました。
学校長 式 辞 (令和元年度養正小学校卒業証書授与式)
学校や養正小学校区の風景も少しずつ春の装いに移り変わろうとするころとなりました。 保護者の皆様にもご臨席をいただき、令和元年度養正小学校卒業証書授与式を挙行できますこと、誠にありがとうございます。
ただいま卒業証書を授与しました四十五人の卒業生のみなさんおめでとうございます。
ほんとうだったらもっと内容も多い式にできたのに。在校生の仲間や地域の皆さん、もっとたくさんの人に祝ってもらう式にできたのに。もっと練習していいものにできたのに。そして、何よりも仲間や先生たちと最後の学習や生活や遊びをもっと共にして別れにむけた時間をすごせたのに。
もっと、もっと、もっと・・・。
その皆さんのくやしい残念な気持ちは、長谷川先生・柴原先生や、先生たち職員の人たち、みんなが同じ思いです。
でも、私たちの養正小学校の歴史を振り返ると、太平洋戦争末期の空襲で街がほぼ全滅し、校舎も全焼し、児童も約八十名が亡くなりました。そのことを思えば、私たちは感染症とのたたかいがあるとはいえ、平和な中でこの日をむかえることができました。
人類は、数百万年の歴史の中で、今回のような感染症、あるいは、環境の変化や飢餓、災害や戦争で、たびたびの大ピンチをむかえましたが、そのつど知恵を働かせ、共に助け合ってその難局を乗り切ってきました。
今回、卒業式も最後の日々も不十分なものとなりましたが、せめてそのことも自分の学びや成長につなげてくれたらと思います。最も苦しいのは、病気に苦しむ人やその家族です。病気を恐れ不安になるのはだれでも同じですが、それによって人を攻撃したり差別したりしていてもこの危機は乗り切れず、自分の成長にもつながりません。
みなさんは九月に観た劇団四季のミュージカルを覚えていますか。主人公のゾルバは心が荒れ孤独な猫でした。しかし、カモメのヒナを愛し育て、そして飛び立ちのために仲間と力を合わせることで、心を開き自分自身を成長させていきました。人のために尽くしたことが、結果的に自分を成長させることになったのです。
これから、中学校以降の学習や生活でも、困難なことは様々におこるかもしれません。でも、そこにはこれまで同様に、家族や先生、仲間や周りの人たちの力や支えがきっとありますから、ぜひそのつながりを大切にし、感謝することも忘れずに生きていってください。
最後になりましたが、保護者の皆様 お子様のご卒業誠におめでとうございます。今回の臨時休校の措置や卒業式については、たいへん困難で、気をもませることが多々ありましたことを職員一同心苦しく、申し訳ない気持ちや共に残念な気持ちでいっぱいです。
しかし、今回の苦渋の選択にもご理解をいただき、またこれまでの学校教育活動にいただいたご理解やご協力に感謝し、高席からではございますが心より御礼申し上げます。
それでは卒業生のみなさん、ぜひ困難に打ち克ち明るい未来を切り拓いていってください。今後の皆さんの輝く姿を楽しみに、卒業にあたっての式辞といたします。
令和元年3月18日